KENTEM TechBlog

建設業のDXを実現するKENTEMの技術ブログです。

おーい、Devin君。新人さんのトレーニング用にToDoアプリのサンプル作っておいてー。

どうも、こんにちは。KENTEMで iOS/Windows のアプリ開発を担当しているエンジニアの T.K です。

この度、いつでも、どこでも、どんなタスクもこなしてくれる頼れるエンジニア、Devin君を私の開発パートナーに迎えました!

率直に言って、雇って大正解 です。

AIが目覚ましい進化を遂げるなか、パラダイムシフトが次々と起こり、その価値がバーゲンセールのように錯覚してしまうほどの時代になりました。そんな状況において、Devin は全 ITエンジニア必見の存在 だと言っても過言ではありません。

少し主観も交えるかもしれませんが、私なりの視点でこの画期的なAIエージェントをご紹介していきます。

Devin とは

Devin(公式サイト) はアメリカの Cognition社が開発している世界初(たぶん)の自律型AIエージェントです。

簡単に言うと、「チャットで依頼すればコーディングからPR作成までクラウド上で作業してくれる、ジュニアエンジニア級の実力を持った仮想エンジニア」といったところです。

特徴

  • Cursor/Clineのような自身のコーディング補助AIとは異なり、自律自走型のAI
  • まるで一人のエンジニアがそこにいるかのように、指示後は自律的に作業を進める
  • つまり、自分+Devinで「2馬力」になるイメージ
  • しかも、Devinを複数並列稼働も可能(正直、人間側が使いこなせない感はある)
  • 成果物として、GitHubのリポジトリにPRを出してくれる(もちろん他にも色々できる)
  • Slackと連携することで、チャットで簡単に指示が出せる

雇用費用

2025年4月にDevin 2.0 へとバージョンアップした際、大幅な料金改定があり、月20ドル(約3,000円)から雇えるようになりました。

ちなみに、2024年12月リリース当初は、月500ドル(約75,000円)からしか契約できなかったため、驚くほど安くなったといえます。

今こそ、Devinを試してみる絶好のタイミングかもしれません!

前提準備

  • GitHubにリポジトリを事前に作成しておくこと(今回は ToDoAppByDevin とします)
  • Devinの利用登録を完了させ、GitHubと連携しておくこと
  • Slack連携はお好みで。しなくてもDevin Webサイトからチャット可能

作業依頼してみた

さて、ここからは標題の件について回収していきます。
まずは、パッと思いついた最低限の指示をしてみます。

Devin Webサイト上のチャット

頼もしい返答とともに、作業が開始されました。

数分後、なんともう作業が完了したようです…! 完了報告の概要と生成されたコードを確認できます。

ただし、PRを出すところまで指示していなかったため、次の指示を出します。

すぐにPRを出してくれました。この時点でもう感動です。ありがとうDevin君。

ブランチ名を指定していなかったので、適当なブランチ名になっていましたが、早くアプリケーションを実行して確認したいので、ほぼノーチェックでマージします。

GitHubのプルリクエスト1

ソースコードをさらっと確認し、ビルドしてみたところ…。

要件通り機能が実装され、きちんと動作しています。曖昧な指示でもここまで対応してくれるとは、本当に驚きです!

Windows11で動作しているToDoアプリ

追加で依頼してみた

先ほどの成果物に対してフィードバックを行います。 前回の反省を活かし、もう少し丁寧で正確に追加の依頼をしてみます。 また、いきなり実装に入ってもらうのではなく、まずは開発プランを検討してもらう方針です。

実際の開発フローを再現できるか確認したいので、 GitHub Issue に内容を整理し、それを読んでもらう形をとります。

GitHub の Issue1

Issueを指定して作業依頼を進めます。

開発プランを提示してもらうように依頼したはずですが、どんどん作業が進んでいる様子…。
そこで、軌道修正のため途中で介入しました。あぶないあぶない。 対話型と違い、作業中にも追加で依頼できるのが自律型の特徴ですね。

改めてプランを提示してくれたので、内容を確認して承認していきます。

約10分後、完了報告が届きました!

PRの内容はこんな感じでした。

GitHubのプルリクエスト2

残念ながら指摘があったので、コメントを書き、修正を依頼。 すると、Devinは待機状態であったため、即座に対応してくれました。すごい、速い!

PRのコメントと返信

マージ後、今回のミスはビルドエラーが起きる内容だったため、原因が気になり Devin に質問をしたところ、ビルドエラーであればCI設定しておくことで事前に防げたようです。
ちなみに、チャットのやり取りのみであれば費用(ACU消費)は発生しませんが、Devin がリポジトリを参照しないと答えられないような質問をすると費用が発生します。

C# から Swift へのコンバートを依頼してみた

プロダクトを別のプラットフォームで展開したいことが少なからずあると思います。
しかし、既存のソースコードをベースに一から作り直すのは、手間もコストもかかる大仕事です。
最後に、そんな無茶ぶりを依頼してみました。

Issue の内容はこんな感じです。

GitHub の Issue2

成果物をビルドしてみました。

途中経過は割愛しますが、要件通りにコンバートされており、iPhoneの実機上でも問題なく動作しています!

iPhone16で動作するToDoアプリ
たとえば、iOSからAndroidへの移植もこのような手法で実現できれば、クロスプラットフォーム開発の生産性向上に大きく貢献できるかもしれません。
とはいえ、今回は外部ライブラリやフレームワークを使用せず、内部構造や機能もシンプルだったため、機械的な変換だけで動作させることができました。
しかし、実際のプロダクトでは、より複雑な依存関係や独自の設計が絡んでくるため、手作業での調整なしにビルドするのは難しいケースが多いと考えられます。

結局、コストはいくらかかったのか?

2025年5月現在、月20ドル(約3,000円)で購入できたのは 9ACUでした。
ACUというのは「エージェントコンピューティングユニット」の略称で、作業に応じて消費されるポイントを指します。

  • 「作業依頼してみた」で 約 1ACU(約333円)を消費
  • 「追加で依頼してみた」で約 1.5 ACU(約500円)を消費
  • 「C# から Swift へのコンバートを依頼してみた」で約 2ACU(約666円)を消費

コストの感じ方は人それぞれですが、自分で作業した場合の時間的コストを考えれば個人的にはリーズナブルだと感じます。
ただ、日常的に活用した場合のことを踏まえると、Cursor や Windsurf などのよりコスパの良いプロダクトと比較すると、現時点ではやや割高な印象があります。

まとめ

  • 近い将来、エンジニアの仕事がどう変わるのか、Devinを使えば既に体験できる
  • 外出先でもPC不要でスマホで指示出しができる(これが本当にすごい…)
  • 現時点でも正確に指示すれば、簡単な実装やバグ修正をこなせるがチェックは不可欠
  • ただし、指示が曖昧だったり、仕様が複雑だと、期待と異なる成果が出る
  • 一度にたくさんの作業をお願いすると(目安5ACUs以上)パフォーマンスが低下しやすい
  • PRチェックを高確率でパスし、マージまでスムーズに進められる単純作業をどれだけ任せられるかが無駄な課金を減らし、生産性を上げる鍵

おわりに

私は今のところ個人開発の範囲で活用していますが、そう遠くない未来、全てのエンジニアが仕事でAIエージェントを活用する時代が来るのではないかと感じました。

もしご興味があれば、ぜひ一度試してみてください。

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